『虫送り(むしおくり)』は、松明を田にかざしながら、畦道を歩き、害虫を退治して豊作を願う伝統行事です。
小豆島・中山千枚田の虫送りは、小豆島霊場第44番札所『湯船山』での祈祷からはじまります。祈祷が終わった後、荒神社にも火を持っていき、湯船山と荒神社の2か所から参加者が火を火手(ほて)に灯し、「とーもせ、ともせ」の声ともに棚田を下っていきます。中山千枚田は「日本の棚田百選」にも選ばれていて約800枚の大小の田んぼがあります。
夕刻、すこしずつ暗くなっていく中で、火手の光がゆらゆらと揺れて、田んぼの中をつながって移動していく光景はとても幻想的です。
中山地区では、約300年前からつづいていたのですが、後期者不足となり、一時期途絶えていました。しかし、映画「八日目の蟬」の終盤、とても重要なシーンとして「虫送り」が描かれたことがきっかけとなり再開しました。
主人公が「とーもせ、ともせ。」と声をかけながら、火手を持ち、棚田の畦道を歩く光景は、映画を見た人の心に深く刻まれ、中山の虫送りは観光客も参加できるかたちで復活しました。
虫送りは本来、半夏生(7月2日ごろ)に行われる行事ですが、中山地区では7月の第1土曜日に開催されることが多いです。2023年は7月8日に開催されます。
「風景が伝統をつくり、伝統が風景をつくる」なんて考えながら写真を撮影していました。
●スケジュール
18:45ごろ 祈祷 @湯舟山
19:00ごろ 移し火 2か所より出発
19:40ごろ 中山春日神社(中山農村歌舞伎舞台)に到着
火手を持って歩く人は、事前に受付が必要です。
※詳細や注意事項は、小豆島観光協会HPをご確認ください。
昨年公開の劇場版『からかい上手の高木さん』でも虫送りのシーンが描かれており、多くのファンが実際の虫送りを見に来ていました。
小豆島では、中山地区と肥土山(ひとやま)地区の2ヶ所で虫送りの行事が現在も開催されています。肥土山地区の虫送りは例年、半夏生の日に開催されています。