瀬戸内国際芸術祭2010★思い出の作品 ー小豆島ー

2023/04/17

アート 小豆島 瀬戸芸

『海の復権』『島の元気』をテーマに2010年から開催されている瀬戸内国際芸術祭(略して瀬戸芸)。今では、知名度もアップして3年に一度の開催を心待ちにしている人も多い人気の芸術祭となりました。

第1回の瀬戸内国際芸術祭の開催地は、直島、豊島、女木島、男木島、小豆島 、大島、犬島と高松港周辺でした。作品は常設のものと、会期中のみ展示されるものとがあります。

今回のブログでは、瀬戸内国際芸術祭2010 小豆島作品の一部を振り返ってみたいと思います。

土と生命の図書館

アーティスト:栗田宏一 | Japan

瀬戸内海に面した土地と瀬戸内海に流れ込むすべての河川流域で採取された土が並べられている作品です。兵庫県、岡山県、香川県、愛媛県、広島県、山口県、福岡県、大分県の約350市町村で採取された600の土たちが幾何学的なパターンで並んでいました。

採取した後、乾燥させ、根っこや葉をのぞいただけで、色をつけてたりしていない自然のままの土だそうです。

瀬戸内海周辺だけでこんなに多彩な土の色があるんだと驚きました。いろんな角度からみると光の具合でまた違った色に見えて面白かったです。2010年のみの展示で今はもう見られないのが残念です。

小豆島の家

アーティスト:王文志 | Taiwan

小豆島のほぼ真ん中にある千枚田の中に巨大な竹のドームが登場!地元の人たちと協力して切り出した竹を大量に使って作られた作品で、ドームの形は脱穀された米の形を象徴しているそうです。

中に入ることもでき、第1回は夏のみの開催だったのですが、竹の合間をすりぬけていく風が心地よく、のんびりと棚田を眺めながら過ごすことができる避暑地としても最高な作品でした。

王さんの作品はとても人気で、開催毎に形を変えた竹の作品が千枚田の中に作られています。


写真の手前に見えている畦道にたくさん設置されている竹は、別の作家さんの作品で、ダダン・クリスタントさんの『声なき人々の声』という作品です。

尺八にヒントを得たというこの作品は、竹に開けた穴を風が吹きぬけると音が鳴るように設計されていていました。

つぎつぎきんつぎ

アーティスト:岸本真之 | Japan

小豆島のお家や宿などに呼びかけて使われなくなった食器を集め、「金継ぎ」という古くからの陶磁器修復技術を使いつなぎ合わせた作品です。

地元の人やこえび隊(瀬戸芸のボランティアサポーター)が作品作りをお手伝いしていて、アートと地元民が融合した形をみることができました。

よく見ると、丼だったり急須だったりいろんな食器が使われていて、とても綺麗なのに生活感もあるという不思議な作品でした。

Net-Work


アーティスト:スゥ・ドーホー | Korea/USA

昔、塩田(海水から塩を作る場所)があったちかくの浜辺に飾られた作品は、遠目に見ると漁の網を干しているだけのように見えます。だけど、近づいてよく見てみると小さな人型が手足をつなぎ合わせてできていました。

「人間は、集団で社会を作り協働すると同時に、定められたネットワークにとらわれている」という両義的な意味がこめられた作品だそうです。

アート作品は、説明を聞くと、そんな意味もあるのかと考えさせられることがよくあります。この作品もその1つでした。


ふりかえり

今回紹介した以外にも小豆島の中には、いくつか作品が展示されていました。どれも島の自然物を使っていたり、島民と協力しながら作った作品となっていました。

はじめての瀬戸内国際芸術祭に参加して感じたのは、ただアート作品を島に展示するということではなく、島の風土をいかし、地域の人とのコミュニケーションを大切にして、地元の人とともに作り上げていくことを大切にしている芸術祭なのだということでした。

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